複々線とはなにか?
国鉄を筆頭に、全国的に朝夕方の混雑率が200%を超え、満員がゆえに死亡事故や怪我人まで出し、深刻化していった都会の混雑事情。それを打開すべく「複々線」を多額の費用を注ぎ込んで、建設する鉄道会社が続々と現れました。
複々線とはなにか?
皆さんも複線という言葉は耳にしたことがあるでしょう。これらは、鉄道が走る線路の組み合わせのようなもので、少ないものから……
1.単線
都会でも郊外に行けば、見られるもので上り下りの電車・列車は1つの線路を共有し、上り電車と下り電車は途中の駅ですれ違いまた逆の方向を目指します。利用客の少なくそれほど車両を走らせなくていいような路線では単線区間が多いです。維持費は複線に比べやすいですが、駅以外での車両のすれ違いができないため大増発には不向きです。
すれ違いの様子
2.複線
名前のとおり、線路が二つあります。複線区間はいろいろありますから、説明は省略します。当然、上り下り線で使います。単線と違い、駅以外の場所でもすれ違いができるので、時間の短縮が可能で、さらなる電車増発が出来ます。優等列車を運行させ、待避(普通などの下位種別が特急に抜かれること)を行う場合は電車の運行頻度に応じて待避駅を設けます。待避駅は、
⬛️ーホーム ⬅️ー走行方向 ⏭ー特急の走行位置
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このような構造ではなく、
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このような形が一般的です。これで待避は可能ですが、あまりにも、優等列車が多いとその分普通電車のホームでの待ち時間も多くなるので、終点まで走破する時間が長くなるなど問題が生じます。そこで…………
3.複々線
普通電車や快速の待ち時間を削減するために、生まれたのが複々線です。複々線は、先程の複線のように上り下りの線路が一つずつではなく、2つずつあるので、
→1つは各駅停車、快速など
→もう1つは、特急や急行など
そもそも、種別ごとに走る線路を分けられるので、普通などは駅で特急の通過待ちを行う必要がなくなり、停車時間も短くなります。簡単に言えば、片側2車線の高速道路で走行車線をトラック、横の追越車線を自家用車がバンバン通過していくという形でしょうか。
複々線建設へ
1970年。高度経済成長期真っ只中、右肩上がりの人口増加で、首都圏では電車の混雑が深刻化していきました。国鉄では山手線や総武線をはじめ、混雑率が200%を超え、「通勤地獄」と呼ばれる言葉もこの時期に生まれました。この解決案として、国鉄は「通勤五方面作戦」を決行。五方面とは特に混雑が激しい、中央・総武線、東海道線、東北線、高崎線、常磐線など郊外から都心へ伸びる路線のことで大幅な運行方法改善を実施しました。複線で各駅停車から特急までが混在し、待避や停車駅の関係上、これ以上増発が不可能 でも、利用客は増加するばかりで国鉄は複々線化工事を進めました。緩行線(各駅停車)、急行線(主に快速や特快、特急)が走行する路線と区別し、各駅停車は待避を行う駅が減少し、所要時間短縮につながりました。複々線には、線路の配線が2種類あります。
1.線路別複々線
先程紹介した緩行線と急行線の線路が、
緩行線 緩行線 急行線 急行線
となってるため、各駅停車から快速に乗り換えたいというときには一回ホームを移動する必要があります。乗客にとっては不便ですが、緩急接続(各駅停車⇔快速などで乗り換えすること)が同じホームで行われずホームの混雑率を減少させられたり、運行中の電車に支障をきたすことなく、横にもう1組建設できるなど工事期日が早まるなどの利便性があります。JR東日本の複々線では、混雑率解消のため早急に建設を進められたため、線路別複々線の区間が多いです。
2.方向別複々線
緩行線 急行線 急行線 緩行線
のように、運行方向が
↑ ↑ ↓ ↓
このようになるため、緩急接続を同じホームで行えます。乗客は降りたホームの目の前に各駅停車や快速がやってくるので便利ですし、万が一遅延が起きても乗客の乗り換えをスムーズに行え、遅延回復にも役立ちます。しかし、複々線から路線が分岐、合流するとなった場合、平面交差なら線路を2つや3つ跨ぐなどダイヤに制約がかかりかと言い、立体交差をすると建設費や用地確保が問題になるので、これらが弱点になると思います。大手私鉄やJR西日本の国内最長の複々線区間を持つ東海道線は方向別・線路別複々線など区間によって違いますが、大半の区間が方向別複々線です。
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